コラム

金属屋根に防錆塗装に使われる防錆塗料とは？

工場や倉庫の金属屋根の防錆塗装に用いられるのが、錆止め塗料とも呼ばれる防錆塗料です。錆は金属が水や酸素と接触し、酸化することによって起こります。そこで、錆の原因となる水や酸素との接触を防ぐために、防錆塗料を金属屋根に塗布し、形成された被膜によって保護します。

一般的な塗料は、顔料や樹脂、溶剤や添加物などで作られており、防錆効果のある顔料を加えることで、防錆塗料になります。また、以前の防錆塗料は、鉛系やクロム系の顔料を主に配合していましたが、近年では人や環境へ配慮し、鉛やクロムを含まない防錆塗料が販売されています。他にも、古くは防錆塗料の色といえば、鉛系顔料を由来とした赤錆色が主流でしたが、鉛を含まない塗料の開発により、白・黒・グレーの基本的な色だけではなく、アイボリーやチョコレート、ブルーやグリーなど、様々な色が揃っています。

金属屋根に防錆塗装で使われる錆止め塗料の種類

金属屋根の防錆塗装に用いる塗料には、様々な種類があります。錆止め塗料は主成分によって、油性系とエポキシ樹脂系の2種類に分けられます。

油性系

乾燥に時間がかかる油性系は、近年の防錆塗装ではそれほど使われなくなっています。油性系の錆止め塗料の中でも、1種と2種に分けられます。

・1種：油性系
古くから防錆塗装に使用されてきたのが、乾性油を主成分としているタイプです。夏で3～4時間、冬で6～8時間と乾燥に時間がかかりますが、厚い被膜を作ることができるため、防錆性を高められます。

・2種：合成樹脂系
ウレタンやアルキド、アクリルやフェノールなどの合成樹脂系は、1種よりも紫外線に強く、乾燥時間が短いことが特徴です。しかし、防錆性においては、1種よりも劣ってしまいます。

エポキシ樹脂系

エポキシ樹脂に防錆効果のある顔料を配合したのが、エポキシ樹脂系の塗料です。エポキシ樹脂系の錆止め塗料は水に強く、密着性や耐久性が高いことが特徴です。また、乾燥時間も短く、環境に優しい商品も多く販売されているため、工場や倉庫などの金属屋根の防錆塗装だけではなく、住宅の塗装にも多く使われています。ただし、紫外線に弱く、下塗りや上塗りの塗料との相性が悪いと耐久性が落ちるため、塗装する際には注意が必要です。

また、錆止め塗料は何を使って希釈するかによって、溶剤系と水性の2種類に分けられます。

溶剤系塗料

シンナーで薄めて使用するのが、溶剤系の塗料です。溶剤系には、強溶剤と弱溶剤があります。溶剤系塗料は仕上がりが美しく、乾燥が早いことが特徴です。

・強溶剤
ラッカーやウレタン系などの強溶解度のシンナーで希釈するのが、強溶剤です。密着性や耐候性に非常に優れていますが、臭いは刺激を伴うほど強く、既存の塗膜を剥がしてしまうこともあります。

・弱溶剤
塗料用の弱溶解度のシンナーで薄めるのが、弱溶剤です。密着性や耐候性に優れており、強溶剤系よりも臭いが少なく、既存の塗膜への影響もあまりありません。

水性塗料

その名の通り、水で希釈するのが水性塗料です。以前の水性塗料は、溶剤系塗料よりも密着性や耐候性が若干低かったのですが、現在では水性塗料の性能の向上により、耐久性もほぼ劣っていません。また、水性塗料は乾燥する際に水分が蒸発するため、臭いも少なく、人や環境に優しいことが特徴です。

防錆塗装に用いられる、代表的な錆止め塗料をご紹介します。

代表的な錆止め塗料

・鉛丹系
鉛丹の性能を存分に生かしているのが、耐候性に優れた鉛丹系です。

・シアナミド鉛系
耐候性と防食性に優れているのが、シアナミド鉛系です。

・塩酸カルシウム系
亜鉛などの非鉄金属面への付着性が高いのが、塩酸カルシウム系です。

・リン酸亜鉛系
リン酸亜鉛系は、白色の無毒性顔料を配合している、低公害な防錆塗料です。

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錆の原因

錆は金属に付き物ですが、なぜ錆は発生するのでしょうか？錆の原因は、主に3つあります。

空気と水

乾燥した状態では、金属の性質も安定しているため、錆が発生することはありません。しかし、空気と水に触れることで酸化し、赤錆ができます。錆には赤錆や黒錆などの種類があり、赤錆は腐食の進行が早いため、早急に防錆塗装などの対策が必要です。

もらい錆

倉庫や工場などの金属屋根でよく見られるのが、もらい錆です。屋根材を留めるボルトに錆が発生し、その錆が周辺に移ってしまう現象です。

手抜き工事

防錆塗装では用いる塗料によって、下塗りや上塗り以外にも、中塗りの工程が必要な場合があります。塗る回数を減らした手抜き工事では、塗料の性能を十分に発揮することができずに、錆が発生してしまうことがあります。

防錆塗装の依頼する際の業者選び

倉庫や工場の金属屋根に防錆塗装を行う際には、業者選びも重要です。業者を選ぶ際には、ぜひ下記のポイントを参考にしてください。

複数の業者を比較する

倉庫や工場の規模が大きくなればなるほど、防錆塗装の費用も高くなります。はじめから依頼する業者を1社だけに絞り込まず、必ず複数の業者に見積りを依頼し、費用などを比較してください。

施工実績の有無

防錆塗装の業者選びで最も重要なポイントの1つが、施工実績の有無です。実績のある業者は、豊富な経験から最適な防錆塗装を提案してくれます。業者のホームページには、施工事例などが掲載されているので、必ずご確認ください。

許可の有無

屋根の防錆塗装を行うには、建設業許可が必要です。建設業許可を取得するには、請負契約に関して誠実性があるかどうかや、経営業務管理責任者がいるかどうかなど、クリアしなければならない条件があります。そのため、建設業許可を持っている業者は、信頼性があるといえます。建設業許可は業者のホームページの、会社情報などに記載されています。

担当者の対応

いい加減な対応をする担当者がいる業者は、信用することができません。担当者が質問や疑問に答えられない場合は、防錆塗装の知識や技術が無いと考えられるので、防錆塗装を依頼することは止めましょう。また、事前の確認が曖昧だと、解釈に食い違いが出てしまい、施工後にトラブルになるおそれもあります。どのような質問や疑問にも確実に答えてくれる、真摯な対応をする担当者のいる業者を選ぶことが大切です。

施工前の診断

倉庫や工場の金属屋根の状態は、屋根に登って確認しないと、正確に知ることができません。事前の調査で屋根に登り、隅々まで劣化具合や状態などを確認してくれる業者をお選びください。屋根に登らず見積もりを出す業者や、診断結果を書面ではなく口頭だけで報告してくる業者は、依頼することを避けた方が賢明です。

見積もり内容

業者の見積もりは金額だけではなく、記載されている内容もしっかりとご確認ください。材料代と工事代を分けて書いてあることはもちろん、材料代に防錆塗装に使用する塗料やメーカーの名前まで、詳細に書かれている見積もりであれば安心です。見積もりの金額の根拠がはっきりとしている業者を選ぶことをおすすめします。

工期

倉庫や工場の金属屋根は規模が大きいため、防錆塗装に1～2カ月以上かかります。防錆塗装の工期が短すぎる場合は、手抜き工事を行われる危険もあるので、工事のスケジュールをしっかりとご確認ください。

保証内容

万が一施工後にトラブルがあった場合に、どのような対応をしてくれるのか、保証内容を確認することも、業者選びの重要なポイントです。保証を受けられる期間だけでなく、条件についてもしっかりとご確認ください。口約束では後々トラブルになることも多いので、請負契約書や保証書などの書面で残しましょう。