コラム

経年劣化による問題点

折半屋根は、工場や倉庫などの大型建築物によく使用される屋根材です。しかし、長年の使用により様々な問題が発生します。主な経年劣化による問題点は以下のとおりです。

防水性能の低下

• 屋根材の接合部分や固定部分からの雨漏り
• 屋根材自体の劣化による水の浸入

構造的な問題

• 屋根材の腐食や破損による強度低下
• 台風や強風時の屋根材の浮き上がりや飛散リスク

断熱性能の低下

• 屋根材の劣化による断熱効果の減少
• 工場内の温度上昇や空調効率の悪化

美観の損失

• 屋根材の変色や錆による外観の劣化
• 建物全体の印象低下

これらの問題は放置すると建物の寿命を縮めるだけでなく、作業環境の悪化や製品品質への影響、さらには従業員の安全性にも関わる重大な問題となる可能性があります。

定期的な点検と適切な補修・改修を行うことが重要です。

従来の補修方法とその限界

折半屋根の補修には、これまで様々な方法が用いられてきました。主な補修方法とその特徴、そして限界について見ていきましょう。

塗装による補修

【特徴】

比較的安価で簡単に施工可能

【限界】

• 防水性能が低く、根本的な解決にならない
• 耐久性に乏しく、数年で再塗装が必要

カバー工法

【特徴】

屋根が二重になるため、断熱性や防水性などの耐久力が高まる

【限界】

• 下地の状態によっては適用できない
• 重量があるため、建物への負荷が大きい

屋根の葺き替え

【特徴】

根本的な解決が可能

【限界】

• 高コストで工期が長い
• 工事中の騒音や振動が大きく、事業への影響が避けられない

これらの従来の補修方法は、それぞれに一長一短があります。特に工場や倉庫などの大規模な折半屋根の場合、コストや工期、事業への影響を考慮すると、理想的な補修方法を選択することが難しい状況でした。

そこで新しい補修方法として注目されているのが、ポリウレア塗装です。従来の方法の限界を克服し、高い防水性能と耐久性を兼ね備えた補修が可能となっています。

高い耐久性と防水性能

ポリウレア塗装の最大の特徴は、その卓越した耐久性と防水性能です。従来の工法と比較して、ポリウレアは以下のような優れた特性を持っています。

耐久性

ポリウレアは非常に強靭な塗膜を形成します。この塗膜は、飛来物からの衝撃を防ぐだけでなく、屋根材の吹き飛びも防止します。また、踏み抜き事故の防止にも効果的で、作業者の安全確保に貢献します。

防水性能

ポリウレアは高い耐候性を持つ防水膜をシームレスに形成します。これにより、雨漏りを防ぐことができます。特に、折半屋根の継ぎ目部分などの弱点も、シームレスな塗膜でカバーすることが可能です。

耐薬品性

酸性雨や化学物質にも強い耐性を持つため、工場地帯などの環境でも長期間にわたって性能を維持します。

伸縮性

ポリウレアはグレードによって400％以上もの伸び率を持ちます。この特性により、建物の膨張収縮や地震による変形にも追従し、クラックの発生を防ぎます。

接着強度

特殊プライマーを使用することで、高圧洗浄を行わなくても高い接着強度を実現します。

これらの特性によりポリウレア塗装は折半屋根の寿命を大幅に延ばし、メンテナンス頻度の低減にも貢献します。さらに、遮熱効果のあるトップコートを併用することで建物内部の温度上昇を抑制し、空調効率の向上にも寄与します。

軽量で建物への負担が少ない

ポリウレア塗装は従来の屋根補修工法と比較して非常に軽量であり、建物への負担が少ないのが特徴です。この特性は、特に古い建物や構造的な制約がある施設にとって大きなメリットとなります。

具体的には、以下のような利点があります。

既存屋根の撤去が不要

従来の屋根改修では古い屋根材を撤去して新しい材料を設置する必要がありましたが、ポリウレア塗装では既存の屋根の上に直接施工できます。

薄膜での高い性能

ポリウレアは非常に薄い膜厚（約1mm）で優れた防水性能と耐久性を発揮します。この薄さが軽量化につながり、建物への負担を軽減します。

柔軟性による応力分散

ポリウレアはグレードによって高い伸縮性（400％以上）を持っているため、建物の動きや温度変化による膨張・収縮に柔軟に対応します。これにより屋根全体にかかる応力を分散させ、建物構造への負担を軽減します。

このように、ポリウレア塗装は軽量であることで建物への負担を最小限に抑えつつ、高い性能を発揮する革新的な屋根補修工法といえます。

短工期での施工が可能

ポリウレア塗装は従来の屋根補修工法と比較して、驚くほど短期間で施工を完了できます。この特徴は、特に操業中の工場や倉庫にとって大きなメリットとなります。

ポリウレア塗装の短工期を実現する要因は、以下のとおりです。

スプレー施工による迅速な塗布

スプレー施工により広い面積を短時間で均一に塗布できます。これにより、手作業での塗装と比べて大幅な時間短縮が可能です。

高圧洗浄が不要な下地処理

高圧洗浄が不要な点も工期短縮に貢献します。特殊プライマーを使用することで、高い接着強度を確保しつつ、下地処理の時間を削減できます。

速硬化性能による作業効率の向上

ポリウレアの速硬化性能により、塗布後すぐに次の工程に移れます。これにより作業の待ち時間が大幅に減少し、全体の工期を短縮できます。

このように、ポリウレア塗装は従来工法より短期間で施工が可能です。これにより事業への影響を最小限に抑えつつ、効果的な屋根の補修が実現できます。

環境への配慮

ポリウレア塗装は環境に優しい選択肢として注目されています。従来の塗装材料と比較して、以下のような環境面でのメリットがあります。

VOC（揮発性有機化合物）の低減

ポリウレアは溶剤を含まないため、施工時にVOCの放出がほとんどありません。これにより、大気汚染の軽減や作業者の健康保護に貢献します。

長寿命化による廃棄物削減

高い耐久性により、塗り替え頻度が少なくなります。結果として廃棄物の発生量を抑制し、資源の節約にもつながります。

エネルギー効率の向上

ポリウレア塗装は断熱性能も優れているため、建物の冷暖房効率を向上させます。これにより、エネルギー消費量の削減とCO2排出量の抑制が期待できます。

以上のような特徴から、ポリウレア塗装は環境に配慮した補修・補強方法として今後ますます注目されていくでしょう。